健康経営の推進によって新たに使われ始めた「キーワード」#ヘルスリテラシー
健康教育と、人の健康行動に影響する、情報を適切に理解し活用する為の力について解説します。
健康に関する情報・知識を、理解し行動に繋げる力の事で
2つの「健康情報」への対応と、健康になる為の行動の実践まで①~③の過程全てが「正しく」機能している事を「ヘルスリテラシーが高い」、①~③の過程で、不足や間違い、行動に繋がらないなどの場合は「ヘルスリテラシーが不足」または「ヘルスリテラシーが低い」と表現します。
健康情報を収集する事が得意であったり、健康分野の専門家に接触する事が出来る人は、健康行動に役立つ情報を取得しやすく、これは健康情報が入手しやすい環境やコミュニティ(健康情報に詳しい人との繋がり)に所属しているか?の影響を受けやすいです。
▷補足・解説・参考例
周囲の人や環境が健康的であるか、そうでないかは、他人のヘルスリテラシーと健康行動に影響する。
健康情報を十分な量を収集出来たとしても、その情報を「正しく理解」したり、その中に紛れている「悪い情報」を取捨選択する事が出来なければ、知識を蓄積し、健康行動への活用へと繋げる事は難しくなります。
▷補足・解説・参考例
最後に、健康行動へと繋げる為には、収集、取捨選択し蓄積した情報と知識を自分自身の健康状態と、生活習慣、生活環境などの条件に論理的にまとめたり関連付けたりし、現実的に実行可能な行動へと落とし込む必要があります。この段階で収集・蓄積した情報が間違っていたり、偏っていたりなどすると、蓄積した知識から「メリットとデメリット」を総合的に判断した行動がとれないなど、返って健康を害してしまうという事も起こりかねません。
▷補足・解説・参考例
※確証バイアスとは?
-先入観や、自分の好みや趣味趣向、仮説を肯定する為の自分にとって都合が良い情報ばかりを収集する傾向の事。
人は、専門分野では無い事に関しては、自分にとって役に立つのか、立たないのか?良いのか悪いのか?と直ぐに結論に辿り着きたいと思うものです。それに対し、専門家の立場というのは、情報に対して常にフラット、中間地点からその情報の「メリットとデメリット」を偏りなく収集し蓄積し、「どの相手」「どの条件」「どの様な目的」に置いては、この情報を「ポジティブ」に取り扱うか?「ネガティブ(リスク)」取り扱うかうか?を検討しています。
一般の方からすると、この姿勢は結論までに時間を要し、自分にとって「断言(アドバイス)」してくれるものではないので、共感を持たれにくく、好感度も高まり難い場合が多い。逆に、素性が不透明であったり、健康マニアの様な素人の発信するネット、SNS情報は、簡潔に断言するように結論を記している場合が多く、刺激的で、共感や好感度を高めやすく、人の心を掴んでしまったりします。
しかし、この簡潔に短時間で断言する情報発信というのは、その背景を十分に説明するものはなく、特定の方向性や結論に人を誘導しやすく、極端に「メリットのみ」「デメリットのみ」を発信するものであり、その情報を収集し蓄積してしまう事は、総合的(自分にとってメリット、デメリットを天秤にかける)な健康行動への判断力失わせる可能性があります。
多くの場合健康情報に対しては、自分の性格や趣味に合い、特に影響を受けている人の発信や行動に傾倒・心酔し易いものです。誰しもこの様な「自分の信じたいものを信じたい」という感情と性質を持ち合わせているだという事を理解し、それを前提にした情報収集、例えば、あえて自分にとって「ピン!」と来た情報の「デメリット(リスク)」やネガティブな側面を探すなどし、健康情報の収集と判断の過程で可能な限り「確証バイアス」への対策を意識する事をお勧めします。
増え続ける健康情報を隅から隅まで目を通すのは、専門家でも難解で時間がかかるものです。だからこそ簡単に結論を見出さず、情報を中間地点からフラットに語る事の出来る、信頼できる専門家の指導アドバイスを求めたり、組織として集団の健康教育を導入する事が重要であると考えられます。
執筆担当
ウェルネスドアLLC代表 狩野 学
参考資料(健康教育の新しいキーワードとしてヘルスリテラシー)
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