少子高齢化と人口減少に伴い、労働人口が減少しています。「人材確保」は中小企業を中心に経営課題として顕在化し、その対応策として「定年後の再雇用」「高齢者雇用」が推奨推進されています。
しかし、高齢従業員の雇用を推進する事は結果として社員の高齢化という形で現れます。若い世代の社員に比べ、どうしても気力体力に劣る高齢従業員は「労働生産性の低下」と「健康問題」と向き合う必要があり、企業は労働力確保による「従業員の高齢化」への「健康対策」が求められます。
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高齢従業員の抱える課題と健康対策に関して執筆する前に述べておきますが、本テーマは検証、対策を適切に講じるべきものであるのは事実ですが、これは決して高齢従業員を経営資源や、労働生産性の低下やイノベーション、企業風土・文化の進化、改善へに対しての「リスク」や「悪」として捉えると言うものではありません。
長年、その産業や日本社会に貢献した方々の持ち合わせる、「能力」「経験」「信用・信頼」「実績」に敬意を払い、将来の企業活動に必要な「ナレッジ」の継承や、活用を推進する為に必要な投資、努力とお考え下さい。
人は誰しも、年を取ります。気力・体力・頭の回転や仕事のスピード感覚、新しい最新技術やシステムへの適応能力など
どうしてもそれらの能力は皆衰えます。若年層の社員も何れ遅かれ早かれその様な時代、時間の流れに身を置き、当事者となります。会社や、従業員個人も、他人事でなく当事者意識をもってこの課題に向き合う事が重要です。
「何らかの病気(体調不良)によって、会社を休まなければならない状況」の事を、アブセンティーズムと言います。
高齢化すると、どうしても日々の体調の変動したり、抱える病気等による、早退や休養のリスクは上昇します。その世代の従業員の方々は、仕事への責任感や習慣から、多少の体調不良くらいでは、早退したり休むなんて社会人としてみっともないし迷惑をかけると考える人たちも多いですが、結果として職場で持病や体調不良を起こし兼ねないという事でもあります。
「出勤はしているものの体調が優れず、業務への集中力や認知能力が低下した結果、生産性が低下している状態」の事をプレゼンティーイズムと言います。体調不良の主な原因として、慢性疲労症候群、うつ病、腰痛、頭痛、肩こり、花粉症をはじめとしたアレルギー症、生活習慣病が挙げられます。
プレゼンティーイズムに関しては、何も高齢社員に限った健康課題ではありませんが、アブセンティーズムでも述べた通り、病気や疲労の蓄積、体調不良による集中力の低下や認知能力の低下は、簡単に述べれば無理は効き難くなります。
さらに、ここで注目して頂きたいのは、「腰痛・肩こり・首痛・膝痛」等の筋肉や関節などの運動器の整形外科的疾患の罹患率は、間違いなく高齢化による体力低下や身体的特性の変化に合わせて上昇します。
高齢従業員特有の健康課題への対応は企業の労働力と、生産性の安定・向上には欠かせない経営課題と言えます。従業員の高齢化、老化に伴う「フレイル(虚弱)」への対策の検討、実施が考えられ、フレイルは以下の3つに分けられます。
人間は例外なく、加齢による心身の体力低下により、体重減少、疲れやすい、歩行速度低下、身体活動量低下(運動不足)や認知能力低下、聴力低下やコミュニケーションの減少による社会活動への参加や意欲低下を起こします。
社内での健康セミナーや運動教室を活用し、それらへの予防や改善はもちろんの事、コミュニケーションの活性化や職場環境の活性化を図る事に貢献します。
気力体力が充実し、経験や知識が豊富な高齢従業員の活躍と活用は、人材不足の現代にとって、女性の雇用や活躍と並び
重要な企業の資源と言えます。また、現在の若い世代の従業員も何れは必ず歳を取ります。自身が高齢化していく過程での対応策や必要な知識を蓄えヘルスリテラシーを高めておく事は必ず将来役に立ちます。
ロコモティブシンドローム(運動器症候群):通称ロコモ
筋肉・関節・骨など(運動器)の衰えによって、「歩く」「立つ」「階段昇降」といった運動への機能が低下した状態。
ロコモが原因となり、健康寿命(※健康に日常生活を送れる期間)が平均寿命に対し、男性で約9年、女性で約12年短くなっている。
要介護、要支援の主要な原因は、転倒・骨折・関節症などの運動器が元になっている。
日常的なエレベーターや車の使用、便利な社会とデスクワークを中心とした仕事などが原因となり、現代人は歩く事が減り、足腰の筋肉や関節、骨が弱っています。
【ロコモ度テスト】
を含む、予防改善の運動指導・運動教室を承っております。
当然の事ではありますが、10年後には皆10歳、20年後には皆20歳年を取ります。
つまり、従業員の高齢化に対する対策というのは、現状の高齢社員に着目するだけでなく、5年、10年、15年、20年後の視点を持って取り組む事が重要です。
日本の年間医療費は「42兆円」を超え、その財源は、公費38.6%、事業主20.8%、個人の保険料と自己負担額で40.5%という構成比となっています。事業主と個人の負担額比率はこの10年間およそ変化はありませんが、65歳以上の医療費の上昇は右肩上がりに伸びており、公費の支出額の増加でそれを補っている状態です。
2025年には医療費は57兆円超える見通しで、その財源確保に、所得別で個人負担額割合の変動、さらには今後、事業主と個人の保険料の徴収額の増加などで対応される可能性もあります。
つまり、今後増える65歳以上の国民の医療保険の捻出の為に、事業主と労働者の保険料が上がり、企業経営と財政の負担が増える事が考えられます。
これに対処する方法は、国民一人一人が健康になり、医療への過剰な依存を無くし、医療費の適正化を図る必要があり、前期・後期高齢者の人口増加減少が続く限り医療費の上昇続きます。
企業というコミュニティを活用し、個人のヘルスリテラシーの向上を図る事で、将来の自身の健康とその管理への意識と行動の質を高め、将来の日本と、企業経営の為の働きかけが必要と考えられます。
◆健康投資とは?
「人」を企業・ 組織における貴重な「資産」と考え、従業員の健 康の維持・増進を「人的な資本」に対する積極的 な「投資」として捉えていく考え方です。そして、 こうした「投資」については、適切に実施すれば、 プラスの収益を生む可能性が高い(健康関連コス ト全体の効率的・効果的縮小につながる)とされ ています。超少子高齢社会、人口減少社会に突入 した日本において、こうした発想は特に大きな意 義を有していると考えられます。
(出典:厚生労働省保険局-コラボヘルスガイドライン)
◆健康教育とは?
健康教育おける最大の目的と期待する効果は参加者の「ヘルスリテラシーの向上」です。ヘルスリテラシーとは健康に関わる情報を正しく理解、評価し活用する能力の事です。健康に関しての情報が氾濫する現代において、専門家でなくてもテレビや雑誌、インターネットを通じて無数の関連情報にアクセスできるようになりました。しかし、残念ながらその中には間違った内容や質の低い情報が紛れており、自分にとって重要な情報を選択し、利用できる能力が必要となっています。
そして、個人のヘルスリテラシーが低い事は、危険な行動や不健康な行動を選択し、健康状態の悪化をもたらす事が示されています。
(参考出典:WHOヨーロッパ事務局)
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