健康セミナー(イベント)の年間計画の立て方

 

健康経営推進施策として

健康セミナー/健康イベントの年間計画とスケジュール立案の方法を考えてみましょう!

 


POINT①「社会問題・流行を反映させる」

 

 まず、最も検討しやすいの「社会問題」「流行(現在)」を反映させるというものです。例えば今の日本社会の健康課題から抽出できる #キーワード には以下の様なものが考えられます。

  1. 高齢化社会:48.4歳(2021年現在)※毎年0.4歳上昇
  2. 精神疾患経験・保持者の増加
  3. 運動不足 ※20歳以上の1日平均の歩行数が毎年減少傾向
  4. 子供の運動能力低下・運動機会の減少
  5. 感染症の流行

 この辺りは話題性もあり、メディアでも取り上げられやすいトピックスでもあります。それぞれのテーマから推測できる「現在」と「将来」の健康課題に仮説(ストーリー)を立て、企画に活用する事が可能です。

 

例)

①日本人労働者の高齢化 → ②各企業の労働者の平均年齢が上昇 → ③持病による休職や、介護離職の増加 →①~③をサイクル

 

 学校という集団のコミュニティを卒業してから、「健康教育」をより多くの人に届ける為の受け皿として、会社というコミュニティが持つ可能性と責任は高まっていると感じています。

 

 また、研究が進み明らかになってきましたが、「ヘルスリテラシー(健康に関する理解度)」が高い人ほど、生活の中で健康に必要な選択ができる事がわかっています。学校で十分な「健康教育」が施されない以上、独学か、企業の健康経営推進、地方自治体での啓蒙活動の3つの機会が想定されますが、独学は個人の趣味趣向や性格、情報ソースの取得先により偏りや起こりやすく、地方自治体の啓蒙活動は、高齢者向けのテーマが中心になりがちで、さらに多くの人にとって日程の調整が不便である事が多いです。

 

 これらの現状を検討するかぎり、最も多くの人に安定した健康教育を届ける為には企業の協力が必要不可欠であると思われます。

 

POINT②「社会的イベントや季節性を活用する」

 

 社会的イベントや季節性のあるテーマを活用する事で、タイムリーで実効性のある情報を参加者に提供する事で、生活習慣の振り返りや、行動変容の動機付けの効果が期待できます。

 

1月

2月:風呂の日※(温活)正しい入浴と健康効果
3月:女性の健康週間/春の睡眠の日
4月
5月:禁煙週間
6月:歯と口の健康週間

7月:熱中症予防強化月間

8月:食品衛生月間
9月:食生活普及強化月間/秋の睡眠の日
10月:世界メンタルヘルスデー
11月
12月

厚生労働省/内閣府/WHO/世界精神衛生連盟 等が設定するイベント

花粉症

熱中症・細菌性食中毒・夏バテ・食欲不振
寒暖差アレルギー
冬   乾燥・冷え・感染症・ウイルス性食中毒・心疾患

 

 上記イベントリストを社内プロモーションの #キーワード として利用して、1年間の施策スケジュールにストーリーを持たせてみましょう。

健康経営施策年間スケジュールイメージ

POINT③「社内の健康課題との親和性を考える」

 

 POINT①,②と見てきましたが、何より重要なのは「社内の健康課題」と施策の親和性があるか?という事です。例えば、社内の平均年齢が30歳と若い企業で、ロコモティブシンドロームとテーマとしたイベントを計画しても、その研修で得られる情報が役に立つのが20~30年先...という事では、記憶にも残り難く研修の効果も時間の経過共に失われてしまいます。

  1. 社内の平均年齢考慮、または世代別に研修を分ける
    ▶単身者が多く食生活の乱れが懸念される ▶社内の平均年齢が毎年上昇している

  2. 男女比を考慮、または「男性特有の健康課題」「女性特有の健康課題」を分ける

  3. 健康診断結果/ストレスチェックの集団分析結果を活用
    ▶テレワークの推進後体重増加の傾向がみられる 

  4. 業種・職種から健康課題を想定する
    ▶作業業務が多く、腰痛・膝痛保持者が多い ▶デスクワーク中心でほとんど歩かない、運動不足が深刻
    ▶顧客との対面等接点が多く精神的ストレスが多い

 1~4は社内の健康課題を検討する上で活用しやすいと思います。また、定期的に社内に取り上げてほしいテーマをリサーチする為に(Googleフォームズ / Microsoftフォームズ などを活用)WEBアンケートなどを実施するのも良いかもしれません。

 

POINT④「主催者(企画者)と参加者のヘルスリテラシーの差を考慮する」

 

 これは「おまけ」の様なPOINTではありますが、1度考えてみましょう。健康経営施策を主催する担当者(部署)は、役割柄多くの健康情報や、専門家とのコミュニケーションを通じて自然と「ヘルスリテラシー」が成長していきます(健康に関する知識や技術に詳しくなる)

 

 すると、毎年企画するイベントに対して、「もの足りなさ」「飽き・慣れ」「簡単・おもしろくない」と感じやすくなります。参加者側の社員のヘルスリテラシーの現状を考えれば、普遍的な内容の周知、研修がまだ必要でも、主催側が「珍しさ」「新しさ」「過去にやった事がないものをやりたい」と求めてしまう、という事も起きかねません。

 

 企業の健康経営施策は、それ自体が社内外に対する広報活動・企業価値を高める為の活動としての意義を持つ様になってきました。その為、他にないユニークな施策の実績を積み重ねる事もアピールPOINTとなりますが、社内の健康課題の実態と、従業員の健康状態と乖離する施策をとっていないか?は検討しながら、マンネリ化とのバランスを上手に取れると良いでしょう。

 

 

執筆担当:ウェルネスドア合同会社 代表
狩野 学(かりの まなぶ)

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